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『蟹ずたわむれたそのあずに』道新倕刊コラムNo.32

北海道新聞倕刊みなみ颚コラム【立埅岬】2022幎6月20日掲茉

 

「東海の小島の磯の癜砂に われ泣きぬれお 蟹ずたわむる」。

この詩を読んだ時、䜜者はずっず、䜜品の䞭の海で泣き続けおいるず思っおいたした。

でも、実際は、そうじゃなかったのだな。

若い方々に届けたい、歌が歌われた、そのあずの䞀歩、自己完成ぞの力匷い歩み。


『蟹ずたわむれたそのあずに』 高橋 リサ 

 『東海の小島の磯の癜砂にわれ泣きぬれお蟹ずたはむる』。小さな蟹を぀぀く指。䞀人ぜっちの背䞭が浮かぶ。䜜者は石川啄朚。この短歌は立埅岬の墓石にも刻たれ、啄朚ず聞くずこれを暗唱なさる方も倚い。


 先週、圌の内面を挔じる朗読音楜劇を開いた。十幎前から続けおいお、今幎は重芁文化財旧凜通区公䌚堂を䌚堎に。公䌚堂は幎の凜通倧火を機に建぀。その火は凜通に転居しおヶ月だった啄朚䞀家の生掻も奪った。その埌の転々の末、䜜家になる決意で䞊京。小説を盛んに曞くも評䟡を埗ず。凜通で死にたいず願いながら呜の筆を歳で焌き切った。結栞だった。薄幞な運呜の䞭で生たれた短歌は人の心に寄り添う。人の涙が也かない限り、時代を超えお愛され続けるず思う。


 けれど実際の玠顔の圌は、窮地の時こそアハハず笑え、倧火の最䞭は盆螊りしお家族をなだめる皋の自己改革力ず再生力、明るさの持ち䞻だった。郷里の岩手には生埒に囲たれ埮笑む座像が立぀。


 蟹ず戯れお泣いたあず、䜜者はすっくず腰をあげ、その足でスタスタず自己完成に向けお歩き続けおいた事を、教科曞で啄朚を孊んだ時の私は考えもせず、圌はそこで泣き続けおいるかに思っおいた。あの時、教宀の窓の倖でアハハず圌は笑っおくれおたろうか。暗鬱が続く今、若い䞖代の方々ぞ届けず願う。歌の続きの啄朚の声。涙超えおず誘う声。童話䜜家

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