いずみから
ゆきむしの飛ぶ午後
素敵な女性を おみかけした
とても好きだった 作曲家さま
その方、とある有名な
先生のお弟子さまでした
お師匠は亡くなってしまったけれど
ふたりのお仕事は確かに一体 ひとつの世界を作ってらした
お呼びとめすると
歩みを戻してくださった
先生はなにをどのように
あなたに 教えられたのですか…
どうしてそのように 在れるのですか…
きけるはずもなかったけれど、ずっとお尋ねしたかった
澄み渡る旋律の 沸く始まりを
彼女は、目をみてうなずいてくれた
やさしいほっぺに、戦士のような厳しさはなかった
―先生がおしえてくださったのは
わたしに何が できるのか
おだやかなひとみの向こうから
そんな答えが 聴こえた気がした
たえない泉の 沸くおとだった