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『くちもとに、キャンバス』道新夕刊コラムNo.20

  • 2020年4月4日
  • 読了時間: 2分

人にお会いして、必ず最初に話題になる、マスクの話。どこで買ったの、ではなくなった。何で作ったの、どうやって作ったの、●●君らしいね、お母さんお裁縫上手だ…。そんな会話を、今日も楽しみに。

※記事をそのまま掲載できませんため、文のみ転載しております。いつも有難うございます。

(北海道新聞 夕刊みなみ風 リレーエッセイ「立待岬」2020年4月3日掲載)

『くちもとに、キャンバス』

やっと公共施設が開館。久々の集会で、走らないの!と注意されたちびっこ達。そんならと、ミミズのように這い回って遊び出す。いいとか悪いとかを超えてしまって、笑うしかない大人達。規制の中で新しい自由が生まれる、その事を楽しんでしまう力、頼もしい。

マスク不足が深刻になってひと月余。むしろ色んなマスク姿の方々を見るようになった。私は紙ナプキンマスクを愛用中。2分程で作れる。無漂白の紙ナプキンなら優しい色味でほっとする。耳かけ部分はストッキング。時々、うさぎ型の木製ボタンを糊付ける。作りたい!ちびっこが言ってくれると、しめしめと思う。作り方を教えると、次に会った時、更に工夫して作ってきたのを見せられる。不自由の中の自由の発見。弾んでゆく会話。せめてもの飛散防止でしのぐ。その分、本当に必要な人に行き届けと願う。自宅に何枚か残る正規品は、人にさしあげられるよう、残してある。

作れるという希望が無かったら、その心のゆとりもなかったろう。思えば、畑の野菜なども自分で作ったものは、独占の心理より、共有の心理が働く。誰かにあげたいとか分けたい気持ちがわく。作る力は、人を人にする。

引き出しから中学時代に使っていた便箋が出てきた。色鉛筆で描かれた罫線や絵のデザイン。そうだった、自作だった。文具店で買う事しか頭になくなっていた今の自分が、急に可笑しなって笑った。あの頃あった、創作の自由、自分らしさ。忘れなければ、全てはキャンバス。(童話作家)

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