Lisa Takahashi
2016年5月21日
天井
みあげた天井が まっしろくてなにもなくて それがとてもうれしかった こころを映し出せるスクリーンを きっといつもさがしていて。 せかいはとても豊かできれいだ でも、わたしの心の中だって とても豊かできれいだ。 そこにいるのは わたしではないひとたち あなたや あの場所や...
Lisa Takahashi
2016年5月14日
Sceneries from Ryo
(写真:舞台「Ryoリオ~男爵薯の父・川田龍吉外伝~」2016年5月8日) 脚本・演出をつとめさせていただいた 創作朗読劇 『Ryoリオ~男爵薯の父・川田龍吉外伝~』 無事終演いたしました。 ご声援、温かな拍手、素晴らしいご感想の数々に、...
Lisa Takahashi
2016年4月29日
風の乳歯
そとをふきわたっている この風はこどもだ、 そんな気がした 乳歯がはえている そこに立つもの 咲くもの 噛んで噛んで なにかを確かめている すこしだけ 乱暴に吹いている でも こわがらなくても だいじょうぶ この風は、 こども そっとしておこう 風の子がこのふるさとの...
Lisa Takahashi
2016年4月28日
冷たく沁みる
はるを期待していた ひとの心に 雨。 さくらのき、 たっている。 つめたい雨のなか 花が どんなふうに咲くのか みていたい。 花の心をみていたい。
Lisa Takahashi
2016年4月19日
無題
この度の大きな地震により 大変な思いをされている方々へ 心よりお見舞いを申し上げます。 家屋のなかで、そとで 倒れたり壊れたりしてしまった ちいさなもの、おおきなもの、 ひとつひとつを思います。 すべて宝物でかこまれて わたしたちはいきていること あらためて、おもいます。...
Lisa Takahashi
2016年3月21日
春分け
また花びらのような雪 とおい海のそこで しんだサンゴのかけらが ここに降ってきて つもっているように思われた 同時に視界のすみの方から …こころを冬に とどめてはならない そう言い残す声がして 背中を汚した路肩の雪が 濡れた影に、変わりはじめた わたしは、花の陰に行く...
Lisa Takahashi
2016年3月13日
この場をおかりして
童話集販売店さんへいきますと、 この本をお手にとってくださる方々のことや、 お問い合わせくださる方々のお話をうかがいます。 また、おひとを介して、 ご感想をいただくことがあります。 そのほとんどで 直接お礼を言うことが叶いませんが、...
Lisa Takahashi
2016年3月12日
3月
わたゆきのまばたき ちかり、ちかり あかるいひかりのなかで うつくしくて なみだひかっているのか ほほえんでいらっしゃるのか ただ しずかにお話をした どうぞこちらへ いらしてください いまは 硬いゆきしかない このようなお庭でもよろしければ もうすこししたら、そこの木...
Lisa Takahashi
2016年3月1日
花
宿題に目をまわす深夜。 パソコンにはられた桃色の付箋たち。 やらねばならぬ、あれこれの落書き…。 その一枚が、ひらっと、はがれて落ちました。 みると、さくらの花びらでした。 その後を生きる誰かのための 土になれよと、放つ花びら。 わたしたちの宿題。...
Lisa Takahashi
2016年2月18日
一夜のうちに
朝、森の中を抜けていく道を通った。 夜中のうちにずいぶんつもった。 つもった と思っていたけれど、 山へいくと、そうじゃ なかった。 木々にまとう 美しい絹糸。 それは、幹の、枝の内から、 一夜のうちに、あふれ出てしまった何かだった。 あの、ゆきのしろではなく...