高橋リサ
2017年5月20日
『こころのありか』道新みなみ風コラムNo.1
(北海道新聞 夕刊みなみ風 リレーコラム「立待岬」2017年5月15日掲載)
Lisa Takahashi
2017年3月8日
喚き
ふだん大声で叫ばない雪が なきわめくことがある ひどくわめいて やまないことがある くやしいくやしいと 泣いている なきわめくのに 声にはならない カーテンをしめれば その声、私にもきこえない 部屋の天井のすみっこが 夜中にぴしりと きしむだけ...
Lisa Takahashi
2017年2月28日
約束
庭のさくらの枝先に、 枯れたこうもりの影ひとつ ぶらさがっているのをみました もう役立たずのいちまいだと まわりの木々がさとしても 風雪を耐えて、つないだままの あの一枚はなんでしょう もしかしてその一枚は、 十年前から、そのままだ わたしが気づかなかっただけ...
Lisa Takahashi
2017年1月21日
賢治さんとの舞台 2/18
このたび、とても素敵な物語表現空間に、「篠笛」という日本の竹笛で参加させて頂けることになりました。 童話をはじめ沢山の作品を残された 宮沢賢治さん。その童話と詩 4編のことばの世界を、鼓と管と弦から成るおとの世界と共にお届けします。...
Lisa Takahashi
2016年12月25日
ホイール
ホイール 流れ着いていた だれかの うしなった漂流物 届ける場所を まちがっていても 返す場所を まちがっていても あなたが必死に 抱いてきたそれは わたしが めをつむってきたなにかだ わたしが 忘れてきたうただった
Lisa Takahashi
2016年12月25日
しらなみ
あしがもつれて おいつかなくて あたまからころんで おとをたてる おおもりはまの はまべのなみよ そうして たおれたときにこそ うたをうたい がっきをならし ことばをさけんでみたいとおもう うそも教育も ぜんぶはがれて ざばんとあふれるものだけが...
Lisa Takahashi
2016年11月26日
子規の庭
目に映るしろかべ 柿色に ぽうっと明るくて また電球を けさずにねたんだ 消灯ボタンに てをのばせば 電球は 蒼白く ねむっている あさひだ どうしてけせるものか 手もとの こんな ボタンひとつでー ふいになみだが でそうになった あなたの存在も そのような光だ
Lisa Takahashi
2016年11月13日
誰の手のひら
雪がつもって また 晴れた朝 ゆきむしが 飛んでいた 厳しい氷の世界の どこに その身の シェルターが あったというのか 枯庭 暫くみつめていた ゆきむしが 飛ぶ。 無言の大地の 手のもとに 守られ― その 小さな わたむしの ひとつが まるで わたしに 見えたとき...
Lisa Takahashi
2016年10月23日
いずみから
ゆきむしの飛ぶ午後 素敵な女性を おみかけした とても好きだった 作曲家さま その方、とある有名な 先生のお弟子さまでした お師匠は亡くなってしまったけれど ふたりのお仕事は確かに一体 ひとつの世界を作ってらした お呼びとめすると 歩みを戻してくださった...
Lisa Takahashi
2016年10月15日
TEACHER
昨日 いつもの風景のなか 階段のうえに ひとつのかげ 先生だ、すぐにわかる こどもたちを 見守っている 確かな背中だったから ふりむけば やっぱりそう 誰も傷つけないような 冗談をいって がはがは お笑いになる またすこしして見れば 階段の上に まだいらっしゃる...