高橋リサ
2018年5月14日
『「交流」という和に守られて』道新みなみ風コラムNo.8
「国際交流」という和の中で体験したのは、異文化ではありませんでした。私がその後に受けたカルチャーショックは、異文化に対する、日本の同僚の心の態度でした。 守られた安全な出会いが、全て良いわけではないかもしれない。意図的に衝突を引き起こす「教育」も、計画されない「学び」もある...
高橋リサ
2018年3月19日
『ゆきを掴む』道新みなみ風コラムNo.7
(北海道新聞 夕刊みなみ風 リレーエッセイ「立待岬」2018年3月19日掲載) 『ゆきを掴む』 「『寒いね』と話しかければ『寒いね』と答える人のいるあたたかさ」。歌人俵万智(たわら・まち)さんの短歌の中でも愛されている一首。気温は変えられないが、感覚に寄り添ってくれる愛しい...
Lisa Takahashi
2018年3月11日
無題
日本列島の姿をみたとき 北海道は、東北を胸に抱き 海をみすえる、竜の首。 この北の大地は、正しくて優しい土地でなければ そのような心と願いとが、湧いてきて、なりません。 東北に学んだ日々の中、お会いした方々の姿が蘇ります。 雪解けの雫は、 ...
高橋リサ
2018年1月26日
『つくりかけのユートピア』道新みなみ風コラムNo.6
(北海道新聞 夕刊みなみ風 リレーエッセイ「立待岬」2018年1月26日掲載) 『つくりかけのユートピア』 「函館は何にもないですからね」学生や若い方々からよく聞く。就職先や観光先、休日の出先がないと言う。でも、地域に「何かがない」ことはあっても、「何もない」は有りえない。...
Lisa Takahashi
2018年1月1日
かげ
カーテンの向こうを 通りすぎた白い人影 顔を上げた 外は吹雪 粉雪が一瞬 踊っただけだ でもあれは 本当に雪のかげでしたか みんなは雪と呼ぶけれど これは本当に雪ですか ただの雪なら どうしてそんなに 泣かせたり誘ったり 問うたりしますか あなたと共に 見た雪や花が...
高橋リサ
2017年11月27日
『借りものではない物語と』道新みなみ風コラムNo.5
(北海道新聞 夕刊みなみ風 リレーエッセイ「立待岬」2017年11月27日掲載) 『借りものではない物語と』 国道5号線、大沼トンネルを抜けるとすぐ、児童自立支援施設「大沼学園」がある。いま、敷地に並ぶ寮には、小・中学生の年齢の子ども達が、親元を離れ、寮長や寮母さんと一緒に...
高橋リサ
2017年11月5日
『聴こえた声』道新みなみ風コラムNo.4
(北海道新聞 夕刊みなみ風 リレーエッセイ「立待岬」2017年10月30日掲載) 『聴こえた声』 この秋、七飯町で始まった和太鼓講座で、講師を務めることになった。ある日、6歳の女の子がお母さんにくっついてやって来た。妖精のように嬉しげに、手で色々な太鼓に触れる。バチで打って...
Lisa Takahashi
2017年9月30日
旅立ちと夢
祖父が旅立った。 9月29日の朝。 函館に、婦人合唱を作り 郷土芸能としての和太鼓を提案し 戦後、明るい音楽をと、マリンバ演奏の道を歩んだ。 函館にサーカス団を作ることを夢に見続け 太宰治の文学賞を今年もとれなかった、と落胆したばかりだった。...
高橋リサ
2017年8月21日
『噴火湾ノクターン』道新みなみ風コラムNo.3
(北海道新聞 夕刊みなみ風 リレーエッセイ「立待岬」2017年8月21日掲載) 『噴火湾ノクターン』 1923年、岩手の童話作家宮沢賢治が、北の地を訪れた。函館と樺太を結ぶ列車に揺られながら、探しているものがあった。前年に24歳の若さで亡くなった最愛の妹、その魂のゆくえだっ...
高橋リサ
2017年6月30日
『想いの重さ』道新みなみ風コラムNo.2
(北海道新聞 夕刊みなみ風 リレーエッセイ「立待岬」2017年6月30日掲載) 『想い(おもい)の重さ』 この春、函館を愛した詩人石川啄木の手紙や日記の原文による音楽劇を、和太鼓、フルート、芝居の構成で企画した。奏者5人に役者1人。音量随一の楽器と共演する役者側の発声の負担...